藤田です。私が湯沢市に住み始めたのは、2020年1月なので今から約3年半ほど前(早いものでもう3年半以上になるんですね)。その前の湯沢市のお店や街の様子はいろいろな人たちから聞くのですが、もちろんリアルタイムでは見ていないので、すべて「聞いた話」です。したがって見たことのないものや、食べたことのないもの、自分で経験したことがないものや客観的な文献にのってないものは、すべで私の文章の中では「だったそうです」になります。そして本日も「だったそうです」が中心のお話です。
その昔、現在のジークブルガー通り(中央通り商店街)に「とん八(とんぱち)」という人気の居酒屋(?)があったとか。当時は近所の人や役所帰りの人たちなど常連さんの多い店で、かなりにぎわっていたそうですが、40年ほど前にお店は残念ながら閉店になったそうです。
そのお店で人気だったのが「とん八焼き」というメニュー「だったそうです」。このとん八焼き、調味料のにんにく醤油の味の濃さが絶妙「だったそう」で、当時の酒飲みには最高のつまみであったことでしょう。今から40年以上も前の話、半世紀も前のお酒飲みの方々なので、今の世代でいうとこの味を知っているのは、一番若い世代で70歳手前、ボリュームゾーンとしては80~90歳世代の方々ではないでしょうか。
その半世紀前の伝説的なメニューがこの度復活しました。
復活したのは湯沢駅前名店街の「七輪網焼き憲」。ここのオーナーで、ゆざわ-Bizにもよく相談に来る大坂憲二さんが、当時の味を頼りに友人などと一緒に再現したのが、同店のメニュー「とん八焼き」です。
とん八というお店が現役でやっていたときは、私はまだ生まれているか生まれていないかですし、そもそも湯沢市にいません。半世紀という時を経て、この前私も「お客さん」として実食しましたが、食べてみて、半世紀前の湯沢の酒飲みを虜にしたという噂に納得しました。
薄くスライスした豚タンをニンニク醤油の調味料で炒めて、キャベツの千切りの上に乗せただけ(いや、失礼)なのですが、このニンニク醤油の濃さと豚タンのスライスの絶妙の軽さと、あっさりしたキャベツの千切りが絶妙にマッチして、ビールにも日本酒にもハイボールにもマッチします。カウンターにいた方(私より年齢がちょっとだけ上)も「とん八は聞いたことあるけど、もちろん行ったことないし、かなり上の世代(70歳世代)からの話でしか聞いたことがなかった」とおっしゃっていました。
昭和レトロがブームになっている時代ですが、「とん八焼き」をカウンターで食べながら、「名店街は夜になると肩と肩がぶつかるほど人がいた」という自分が経験したことがない「だったそうです」な「湯沢の昭和」を、味とともに感じることができた夜でした。
伝説的なメニューを半世紀ぶりに食べたい方、昭和の時代に思いをはせてみたい方、とにかくお酒のみの方、ぜひ一度お試しあれ。
七輪網焼き 憲 (湯沢市表町2丁目1−23)
090-2368-2317