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地域金融機関に求められる能力とは

センター長日記 メディア情報

センター長の藤田です。1月5日放送のNHK「クローズアップ現代プラス」の中で、Bizモデルが取り上げられました。テーマは「地域金融機関による支援の在り方」でした(「クローズアップ現代プラス」ダイジェスト版リンク)。番組の内容をご紹介する前に、地域金融機関を取り巻く現状を少しだけお話ししようと思います。

近年、地方における地域金融機関は、どこも生き残りをかけた戦略を強いられています。東北では青森銀行とみちのく銀行による将来的な経営統合の話題や、秋田県内でも、北都銀行を抱えるフィデアホールディングスが、岩手県の東北銀行との経営統合に向けて協議を始めたといった話題がありました。

低金利や人口減少を受け、東北に限らずどこの地方でも、地域金融機関の経営環境は厳しいものがあります。また、情報技術の発達によるボーダレスな金融取引により、お金の貸し借りや預金業務だけであれば、「特に地域に根差していなくてもいい」世の中になってしまいました。こうした環境のもと、地方の地域金融機関は生き残りをかけた「生存戦略」を強いられているのです。生き残りの道として、まず一つ目に、先ほど述べたような「Merge(マージ=統合)」が全国的に盛んになっています。お互いの良いところを採用しながらコストの不効率をなくす作業は、もちろんいいことだとは思いますが、私自身はこの手法に関して、少なくとも「本質論」ではないと思っています。

銀行の統合というのは、旧行同士の派閥の軋轢があったり、本当は不採算支店や人件費のリストラをしなければいけないのに、なかなかできず、統合のスケールメリットが出せなかったり、各金融機関のシステムがバラバラでガラパゴス化しており統合がうまくいかなかったり・・といったケースもよく聞きます。金融機関以外の業態であっても、売り上げを含め採算性や利益構造の悪い企業同士がマージしてもうまくいかないように、地域金融機関としての本質論が議論されないままの経営統合が成功するはずがありません。

ここでいう地域金融機関の本質というのは、彼らの本来の責務の一つである「地域の中小企業への経営支援」、すなわち融資先の事業者の事業を正確に把握し、その事業に寄り添う支援をしているかという点です。残念ながらこの点においては、静岡銀行出身である中小企業支援家の小出宗昭氏がYahooニュースのコラム(「コロナ禍で露呈したやっぱり変われない地域金融機関」)に、金融機関時代から中小企業支援時代にかけての約40年で感じたことを書いているとおり、達成できている金融機関はまだまだ少ないというのが現状です。

経営統合とは違うもう一つの生き残りの手法は、彼らの監督官庁である金融庁が繰り返し言っている「コンサルティング営業の強化」です。この「コンサルティング営業」、たまに単語だけ独り歩きすることもありますが、つまりは決算書や財務諸表から融資判断をするだけではなく、企業の技術・販売力などの強みを見つけ、成長戦略を描くための経営指導をしたり、適切な提案したりすることです。平たく言うと、「地元企業(地方の金融機関である自分たちの融資先)が儲ける会社になるような支援をしつづける」ことです。

この生き残り策に焦点を当てたのが、冒頭の「クローズアップ現代プラス」でした。「“地元の逸品をプロデュースせよ” 生まれ変わる地域金融機関」と題し、近年のコロナ禍で苦しむ融資先の中小企業に対して、新サービスをプロデュースしたり、商品を積極的に売り込んだりしている全国の金融機関の取り組みを紹介しています。その中で、巣鴨信用金庫の活動が大きく取り上げられました。

実は、巣鴨信用金庫には「すがも事業創造センター(S-biz)」という組織があります。名前の通り、ゆざわ-Bizでも遂行している、全国で広まる「ビズモデル」を踏襲した組織です。巣鴨信用金庫では、このモデル導入時から現在まで、ビズモデルを創始した小出宗昭氏の支援を受けており、その支援内容も番組では紹介されていました。巣鴨信用金庫では、組織内にこうした機能を置き、融資する事業者の売上拡大や集客向上などにつながる提案を積極的に行っています。番組内でも、集客に悩むダチョウ牧場を「ダチョウ牧場のあるソロキャンプ場」として見せるような提案をするなど、いわゆる私たちが行っている「強みやオリジナリティーを活かした集客・売上UPの戦略」を示すシーンも紹介されていました。

コンサルティング営業にとって、一番大切なのは、番組でも紹介されている通り、「(融資先の)顧客がいかに売り上げをUPできる支援をするか」という点だと思います。私も過去、小規模ながら会社の経営に携わったことがありますが、金融機関からの提案というのは、どちらかといえばコスト的な内容がほとんどでした。仮に販売戦略に関する提案があっても、どこかずれていたりして、「ああ、この人たちは自分たちの業態や強みを理解してくれていないなあ」と残念に思うこともしばしばありました。

巣鴨信用金庫など、番組で取り上げられた地域金融機関をはじめ、すでにこうした古い体質を抜け出そうとしてる金融機関が多くなってきているのも事実です。

ビズモデルではありませんが、番組で紹介されたような「地元の商品を売り込む」という試みに関しては、秋田県内でも、秋田銀行が設立した地域商社・詩の国秋田株式会社が行っています。ゆざわ-Bizに訪れる事業者の方々が生み出す商品も、同社と連携しながら全国販売の展開を検討しており、我々が手を組む大切な地域の連携機関です。

こうした地方金融機関の取り組みが増え、私たちも含めた地域支援機関が一体となって、中小企業を「儲ける体質」にしていく体制がどんどん広がればいいなと思っています。

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