関係人口が創出するこの街の「みらい」
最近よく「関係人口」という言葉を使いますよね(リンクは、「関係人口」に関する総務省のページです)。関係人口ってなんとなくわかるんですが、その定義が時に広すぎて漠然としていたり、いまいちそのもの自体が何を生みだすかというのがあいまいなケースもあります。ただ、中小企業支援に携わる私の個人的な意見としては「関係人口」こそわたしが今いるこの街(湯沢市)の未来を左右するものだと、日々の相談を通して感じたりもしています。
私の考える「未来を創る関係人口」はいたってシンプルです。ここにいる小学校、中学校、高校に通う「若者」で、今はこの街に住んでいるけれど近い将来に「関係人口」になりえる「潜在関係人口」です。例えば高校を卒業後、進学を考えている人たちは、確実にこの街を離れるでしょう。進学でなくてもこの街を離れて新たな挑戦をする人たちも多いと思います。
故郷を離れて晴れて(?)「地域内にルーツのある関係人口」になるのですが、そこで単なる関係人口でなく、いかに「濃密な関係人口(=絶えず生まれ育った街を気にかけてくれるか)」になるかが重要で、この「高濃度関係人口」を育成することが地域にとって非常に重要なのだと感じています。
一見、関係人口の創出と、私の携わる中小企業支援はリンクしないと思われがちですが、実はそんなことはありません。現在、相談に来る事業者のうち、一度故郷を離れたのち、自分たちの育った街で挑戦をすべく、Uターン起業をしたり、事業承継をした(またはこれからするであろう)20代後半から30代後半までの若い世代人たちは多くいます。
みな、いったんは「関係人口」になっています。そして、地元に戻ってくる理由は「商店街のシャッターを一つでも多く開けたい」「やっぱり地元で仕事をしたい」「他のところに移り住んではじめて地元の魅力を知った」とさまざまですが、みな共通するのは、故郷を離れても「高濃度な関係人口」だったことだと思います。
Uターン組は将来、この街を盛り上げてくれると確信しています。Uターンをしてきた人たちは、地元以外にも知り合いが多く、それこそそこから多くの「関係人口」を生みだしてくれるはずです。将来、その人たちに関係する人たちが湯沢に魅力を感じて、もしかしたら移住して何か起業したり、この街にとって有用な活動をしてくれるかもしれません。また、ここに移り住んだ人は、家族を持ち、この街の人口を押し上げてくれるかもしれませんし、この街でお金を使えば、この街の経済をより回してくれたりもします。
そこで、重要になってくるのは、いかに「高濃度な関係人口」を増やしていくかです。すなわち、単なる関係人口ではなく、「故郷を離れても地元のことを絶えず気にかけてくれる」関係人口です。実はこれもいたってシンプルで、「潜在関係人口」のうち(すなわち、小・中・高のうち)に、この街の「魅力」や「もうちょっと変わったほうがいところ」「他のところと何が違うのか(いいところも悪いところも含めて)」ということを正確に把握し、自分たちの住む街をもっと詳しく知ることが重要なんだと思っています。
そして・・・こうした潜在関係人口の若者たちに、外の目から見たこの街を語るのも、私の重要な仕事だと最近感じています。
本日は、こうした私の想いもあり。市立湯沢南中学校の「3年キャリア教育講演会」で、私のこれまでのキャリアや、どのような仕事をしているのか、そして「外から来た人」として湯沢をどう見ているのか、生徒の皆さんがいかにこの街の未来にとってカギになるのかというのをお話させていただきました。
お話のあとに質疑応答の時間があったのですが、その質疑の数の多さにびっくりしました。そのあとの生徒さん同士の感想交流も少し聞かせていただきましたが、私がお話させていただいた内容をよく聞き取り、自分自身でその問題を消化しようという姿勢をすごく感じ、(偉そうですが・・・)「湯沢の将来は楽しみだな」と感じました。
私の話が少しでも、この街の未来を変える可能性があるのであれば、どこに行ってでもお話をしようと感じた今日この頃です。