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(コラム)資金調達編

センター長の藤田です。昨日、本日と事務の小川さんがお休みをいただいており、ブログのアップは私がします。なので、コラム形式です。

何を書こうかと思ったのですが、普段相談ではあまり話題に出ないけれど、この状況だと書いておいたほうがいいことをしたためます。

市内でも新型コロナウィルスによる深刻な影響が地元業者に出始めていますし、ゆざわ-Bizでもこの影響に合わせたビジネスモデルの構築を相談者さんと一緒にしたりしています。

当然話題はこうした方向性でいくのですが、資金調達に関してもそこそこ知識はあります。というのも、私自身会社を経営していた時は、金融機関からお金を借りて、それを”お返し”した経験もあり、前職でベトナムにいた際は、二足の草鞋で、現地の銀行(Vietnam Maritime Joint Stock Bank)で外国の金融機関との取引スキームを組んでいたりしていました。

この前、相談者さんから、話の流れで融資の話や決算書の話など、いわば「数字」の話を聞かれて答えた際、「え?そういう知識もあるんですか?」と言われたので、あえて言っておくと、「あります」。私は士業ではありませんし、ビズの活動の本質からそれる部分もあり、なおかつそこで相談時間が取られると本末転倒になるので、普段あまり口にしません。ですので、ここで書くぐらいにしておきます。

今回は普段相談では私から積極的に口にはしないけれど、「資金調達」という面でお話します。

まず、新型コロナの影響により、「キャッシュが足りなくなっている」という事業者さんはいると思いますし、実際にビズにいらっしゃる相談者さんの中には、実際に資金調達(この状況だとつなぎの資金を借り入れる)のことを聞きに来られる方もいらっしゃいます。

なのですが、話を伺っていると、制度を少し間違って理解されていたり、何をどうしていいのかわからない状態だったりするケースが多かったので、ここでは簡単に融資を受ける場合、どんなものがあってどんな性質のものなのかをご紹介します。

前提のお話です。「そんなのわかってる!」と言われるかもしれませんが、あえて書いておきます。

まず、補正予算成立前から議論されている中小企業や個人事業主に対する「持続化給付金」に関しては、これは給付金なので「借金」ではありません。返済の必要はありません。逆に言うと、「セーフティーネット保証」や「無利子 無担保融資」「危機関連保証」などの制度は「融資」もしくは「融資に関係した制度」ですので、言い方を変えると「借金」もしくは「借金につながる制度」です。将来的に「返済する必要」があります。

つなぎの融資(当面の資金をやりくりするための借金)を考えている方で、今回の騒動がある前から金融機関からの借入がある方に関してのアドバイスとしては、

「まずは、取引のある金融機関に相談ください」

そして、借り入れがない人にも言えることは

「借りていなくても、口座を持っていたりする金融機関に相談ください」

です。

「長々と説明しておいて丸投げかよ」と思われそうですが、既存の借入がある事業者の方は、私の経験上、そしてこの状況では、これがベストな回答だと思っています。そして、借り入れがない事業者にとっても、これが最短の回答です。

なぜか。理由は、彼らは、融資先であればその事業者の決算内容を理解していますし、融資先でなくても、ある程度の決算書など資料を見れば、どの状況でどの程度資金が必要か、そしてどの制度を当てはめることができるのか、ということを専門的な視点から短時間で分析でき、ピンポイントで回答を出せるからです。100%の満額の回答ではないかもしれませんが、この状況であれば一番「最適解に近い答えを最短で出せる」のは彼らだからで、そこに問い合わせることが一番スピーディーだからです。

金融機関には、秋田銀行さんや北都銀行さんなどの民間の金融機関と政府系の金融機関(政策金融公庫など)があります。どちらから借り入れているにしても、取引のある金融機関にまずは相談してみてください。

仮に「自分から連絡するのはちょっと怖い」という方は、ビズに来ていただければ、おつなぎします。

そして、ここからが重要ですが、重要なことは、以下をその金融機関に話すことです。

①どの程度の売り上げが落ちているか

②当面のつなぎ資金が「どの程度必要と感じているか」

③融資の際に使える国の制度は何があるか

④据え置き期間(元本返済が猶予される期間)や支払い利息から見て、当面の「キャッシュとして出ていく金額を少なくする」にはどのような融資や保証、利息補給の制度を使えばいいか

⑤民間の金融機関に行く場合、政府系の金融機関からの新規借り入れの選択肢はないか(またその逆もしかり)。その際のメリット、デメリットは何か

という話題です。完全な丸腰で行くより、この質問をもっていったほうが格段に話のスピードは速まります。そして、金融機関側も、現在の状況でかなりの問い合わせを受けているため、的を射た質問をしてあげることで、彼らの効率も上がりますし、結果的に融資実行までの期間も短くなります。

そして、予備知識はもっておいたほうがいいので、私が相談を受ける中で、誤解が多い部分を下記に記します。

①よく耳にする「セーフティーネット保証4号・5号」とか「危機関連保証」とか、制度に「保証」という名前がついているものは、直接的に「借り入れ」の話ではない

借り入れをした経験のある皆さんはお分かりのとおり、民間の金融機関で借り入れを行う場合、「信用保証協会がその借り入れの保証」をしてくれます。つまり、仮に金融機関に借金が返せない状態になった際、信用保証協会が金融機関に対し「代位弁済(とりあえず、一時的に返してあげる)」をします。金融機関の立場とすると「この人にお金を貸しても、何かあった場合回収ができるのだろうか」と考えます。そこで、この信用保証協会の保証がついていれば、仮に何かあった際も、信用保証協会が金融機関に貸している分を借り入れした人にかわって返してくれるので、金融機関としては安心です。なので、「じゃあ融資しましょう」となるわけです。

ちなみに、この「代位弁済」。勘違いしている方も多い印象がありますが、信用保証協会からの金融機関への”返済”はあくまで「代位」なので、別に信用保証協会が身銭を切って、すべての残債を債務者に代わって返済するわけでは全くありません。「代位弁済」を行う以上、借りた人はゆくゆく、信用保証協会にその分と同等のお金を返済しなければいけません。なので、平たく言うと、「借金がゼロ」になるわけではないので、注意が必要です。

で、この「保証」についてですが、信用保証協会に関しても、リスクがあります。代位弁済したはいいものの、結局お金を借りた人から回収できなければ、損をかぶることになります。なので、これをリスクヘッジするために、「保証料」を借りる人から払ってもらうのと、信用保証協会独自に「この人はちゃんと返せるだろうか」という「審査」を行います。

この「審査」が通常時は時間がかかります。そのため、信用保証協会側の審査に時間がかかれば、その間は金融機関は融資ができないため、結果的に金融機関からの融資実行は遅くなります。

今回の”特例保証”では、制度上、その時間が短くなりスピーディーになります(「制度上」と記載したのは、正確に言うと、特例の保証が、すなわち「審査をスピーディーにする」という趣旨ではないためです。ここは話が複雑なので、説明は割愛します)。なぜかというと、今回は信用保証協会側への事実上の保証に関して、国からの”保証”があるからです。

また、特例の保証は、通常の保証とは「別枠」です。「別枠」とは何かというと、保証には「枠」というものがあり、その枠を超えると、信用保証協会が「保証」をしてくれない=金融機関も保証がないため、お金を貸すことができない、ということになります。

この枠が、今回はコロナの影響を受けた事業者に関しては、2つ別枠ができたため、「通常もう保証の枠がいっぱいで保証が下りず、結果的に借りることはできない」事業者が、「新たに枠ができたので、保証つけることができる=新たに金融機関から資金を借りれる可能性が高くなる」という構図になります。

で、この保証、いくらまで枠が大きくなっているかというと、合計で8.4億円です。通常時の「一般枠」が2.8億円、セーフティーネット枠が2.8億円、それにくわえて危機関連保証が2.8億円の計8.4億円です。

ただし、この金額は中小事業者の大半は現実的でないので、下記、要点を整理します。

「セーフティーネットや危機関連保証」は条件さえ満たせば、一般枠を超えていなくても利用できる。

ということです。つまり、例えば1000万円の借り入れを信用保証協会の保証付き融資で民間の金融機関から借り入れている人の場合、今回の特例保証を使用する際、「一般枠でなくて、特例の保証枠でお金が借りられる」ということです。これ、どういうメリットがあるの?というと、先に説明したとおり、特例の保証は、保証の審査が比較的スピーディーになる+保証の間口が広くなる=早めに資金調達ができる可能性がある、というメリットがあります。

この制度の条件は細かいので、ここではあえて説明しません。

金融機関に行った際、「使える制度」として、こうした特例の保証を利用したい旨を伝え、その条件を金融機関に聞いたうえで、アドバイスを受けてください。

ちなみに、このセーフティーネット保証の実施主体は、信用保証協会ですが、「話を聞きに行く」先は金融機関がベストです。何故かというと、制度上の実施主体者は信用保証協会ですが、信用保証協会は「融資を実施する金融機関までは選定してくれない」ため、結局はまた金融機関へ逆戻りします。ですので、金融機関を通じて信用保証協会の制度を利用するという形が一番スムーズです。

②日本政策金融公庫は、この「保証」とは関係ない

これも少し誤って理解している人がいますが、政府系の金融機関・日本政策金融公庫(以下、政策金融公庫)は、信用保証協会の保証付き融資はありません。なので、信用保証協会を利用することはできません。これが何を意味するかというと、「返せるかどうか、お金を貸す人にリスクがあるかどうかは自分たちでリスクを完全にとって審査する」ということになります。

つまり、お金を貸す際のその事業者の事業性の評価や、中小企業の代表者保証を入れたりと、民間の金融機関とはその手法が異なります。

そして、今回の制度で「無利子 無担保融資」と呼ばれるものは、この政策金融公庫が実施しています。正確な名前は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。

融資限度額は、個人事業主で6000万円、中小企業で3億円です。そしてこれも「別枠」です。

この別枠とは、政策金融公庫にも通常時は「1事業者あたりこの金額だけお金貸せますよ」という枠があり、その通常時の枠とは別カウントで、お金を借りることができますという意味です。つまり、通常時に借り入れているものがあって、限度額に近くなっていても、資金調達ができるというメリットがあります。

融資の名前ですが、私は「特別貸付」と呼んでいて、「無利子 無担保融資」とは呼んでいません。なぜか。だって条件によっては「完全な無利子」ではないからです。

簡単に説明すると、この融資制度、原則金利が「基準金利」適用されています(つまり金利がつきます)。ただし、借り入れが「1億円以下」について、当初3年間は、基準金利から0.9%マイナスした金利を支払えばいいので、金利は下がります。また、「特別利子補給制度」(制度の詳細はまだ「検討中」です)というものがあり、今回はこの制度を使うことで、基準金利マイナス0.9%の残りの金利も補給してくれる=実質的に金利がゼロになるということになります。

何が言いたいかというと・・・、3年間なので、その後は「金利が発生します」。ここは重要です。

ただし元本の据え置き(元本の返済猶予)が5年あるため、実質無利子と組み合わせて3年間は「返済ゼロ=キャッシュが出ていくのがゼロ」というメリットはあります(逆に、元本は減らないので、実質無利子期間が終わると、借りた金額によっては返済金利の額が大きくなります)。

こうした予備知識を入れておいて、金融機関の面談に臨めば、話がスムーズに進み、「どのような調達をすれば一番この時点でいいか」というのが明確になります。

そして最後に一言。上記は、一番初めにも言いましたが「融資」=「借金」=「返さなくてはならないお金」です。返すためにはもちろん事業継続は必要ですし、事業を継続するため、「どのようにお金を稼いでいくか」ということが長期的に見て一番重要な話題になります。

ここで登場するのがうちの組織「ゆざわ-Biz」です。

私たちは、状況に応じて、「どうやって売り上げをあげていくか」ということを主眼に置いた公的な経営支援窓口です。返済を行っていくには、売上を回復させたり、どうやって上げていくかが重要で、そこの部分は私たちが責任をもってサポートします。

この状況を乗り切るために、どのような方法があり、どうやってビジネスモデルを構築するか。その部分はゆざわ-Bizで一緒に考えましょう。

資金を調達する際に、頭の片隅にわたしたちの存在があればいいですし、もし直接ビズに連絡するのが、億劫な場合は、金融機関に「ゆざわ-Bizに行ってみたい」と一言伝えていただくだけで、金融機関が紹介してくれるはずです。

以下、ご参考

経済産業省(新型コロナウイルスに伴う支援策)

https://www.meti.go.jp/covid-19/

日本政策金融公庫(新型コロナウイルス感染症特別貸付)

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html

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