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「異形の取り組み」に光を当てる

センター長日記 メディア情報

センター長の藤田です。とてつもなく素晴らしく面白い事業や取り組みをしているのに、それをしている事業者の方自身はその価値に気づいていないというケースが多くあります。特に、SDGsやサステナブルがトレンドとなるなか、こうした話題に通じる取り組みをしている事業者さんは、「自分がしていることの素晴らしさに気づいていない」という場合が多いのかなと、支援をしていて感じます。そして、「いや、実はそれ、すごいんですよ!!」とその魅力に光を当てていくのも私たちゆざわ-Bizのお仕事です。

東成瀬村で有料老人ホーム・デイサービスを運営する「風鈴」さんがまさにそうでした。同社代表の佐藤一人さんが初めて相談に来られたのは、今年3月末。まずは事業について聞いていると、佐藤さんから「農福連携」という言葉が出てきました。農業に関する取り組みは、湯沢市に来てから自分なりにいろいろと調べたり勉強したりしていたものの、お恥ずかしながら「農福連携」という言葉は初めて聞きました。

さらにお話を聞いてみると、佐藤さんが経営されている有料老人ホームなどにいらっしゃる高齢者の方が、健康維持と認知症予防を兼ねて、近所の田んぼでお米を育ているとのことでした。すなわち「農業」と「福祉」の連携です。近年は農水省でもこの「農福連携」を推奨しているそうですが、福祉に関してはどちらかというと障がい者の分野が多く、高齢者福祉に取り組んでいる地域は少ないようでした。

なるほど・・・。そんな取り組みもあるんだ・・・と思いながら、相談の中でさらに話を掘り下げていくうちに、この風鈴さんが取り組んでいる活動は、日本の近い将来の問題を根本から解決する手法になりえるだろう、と思うようになりました。

秋田県はご存じの通り、全国で一番高齢化が進んでいる自治体です。人口2,000人強の東成瀬村は、「高齢化先進エリア」の中でも特に高齢化が進んでいる土地です。主力産業の一つが農業の同村にとっては、この超高齢化は深刻な問題で、高齢化とともに農業を廃業する人たちが増え、近年では農業法人に作付けを委託しているケースもかなり多いそうです。そして・・・、その受託している農業法人すらも高齢化してきており、年々地元産業の維持が難しくなっているとのことでした。

高齢化がとてつもないスピードで進むエリアで、主力産業の農業を支えていく人材は必然的に「高齢者」となります。大量に若者が移住してきてくれたり、大規模な農業法人が地域に現れたりすればこうした課題は解決しますが、これは非現実的な話で、現実としては地元に「今いる人たち」で産業を守っていかなければなりません。「今いる人たち」はもちろん「高齢者」であるため、高齢者は地域にとって、結果的に重要な労働資源になります。そう、老人ホームに入居されている方々を含めてです。

少子高齢化が進む中で、年々小学校は統廃合されていき、保育園の数も少なくなります。一方、高齢者施設は過去10年で増加していますし、これからも増え続けます。地域を経済的に、産業的に持続させていくには、理想論はさておき、地域の高齢者たちが自分たちで守って維持していくという取り組みが選択肢の一つになります。そして、それを「先導する」人が地域に必ず必要となります。

これは、秋田県や東成瀬村だけの問題ではありません。今後も東京都などの一部地域に人口流入が続いた場合、おそらく他の都道府県も同じような状況になります。少子高齢化が進む世の中で、農業の担い手が減っていくなか、「地域のお年寄りたちが、地域のお年寄りの田んぼを手伝って、地元の主力産業を維持していく」というのは、近い将来の日本のモデルケースにもなりうるもので、この”高齢者先進国”である秋田県の東成瀬村で取り組んでいるからこそ、風鈴の取り組みは価値のあるものだと・・・・佐藤さんに伝えました。

「そんなすごいことなんでしょうか・・・」と若干戸惑ってはいましたが、「そんなすごいことです!」と言い切ったうえで、この活動のプロモーションをどうしていくかを考えはじめました。

試しに、日経新聞の記者に「高齢化最先端の東成瀬村でこんなすごいことをしている事業者がいるので、ちょっと話を聞いてみないか」と打診したところ、やはり「これはすごい取り組みだ」と反応があり、早速「異形の農福連携 高齢者施設の挑戦」として記事になりました。すでに電子版では公開されているので、URLを下記に張り付けておきます。近日中に、日経新聞の東北面にも掲載される予定です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC180QR0Y1A910C2000000/

この記事の中にも登場しますが、今回は湯沢市が提携しているクラウドファンディング「CAMPFIRE」でプロジェクトを行いました。以前の私のブログでも記載しましたが、資金集めのイメージが強いクラウドファンディングですが、私としては中小企業支援においてその使い方には否定的で、どちらかというと事業者が行っている活動や取り組み、商品のプロモーションの「手段」として使うのが望ましいのかなと考えています。そこで、地域や地域外からの支援者や理解者を増やしたいというのが佐藤さんの思いだったため、ちょうどCAMPFIREと湯沢市が提携したタイミングということもあり、ゆざわ-Bizのサポートによるクラウドファンディングの募集をお勧めしました。

有料老人ホームなどに入居するお年寄りが、丹精込めてつくったお米は、昔ながらの「天日干し」という手法で乾燥させ、最高においしく仕上がっています。そんな高齢者の方々が作ったお米の商品名は、その名も「冥土の土産」。

まだ少量しか収穫できないため、リターン数は少ないものの、おかげさまでプロジェクト開始からわずか数日で100%を達成しました。数日前に新たにリターンを追加しましたので、ご興味のある方は下記のリンクからポチっと応援していただければ幸いです。

風鈴さんの「農福連携」のクラウドファンディングはこちら

もしかしたら、あなたのしている事業や取り組み、商品は、あなた自身が気づいていないだけで、他にかえがたい「素晴らしいもの」かもしれません。

ゆざわ-Bizではそんな「隠れた素晴らしさ」を対話を通して発見し、その取り組みやノウハウ、強みを商品やサービスなどの見える「カタチ」にして、そのうえで事業者や事例に合ったプロモーションをしていきますので、ぜひ皆さん一度来てみてくださいね。というのが本日のコラムのオチです。

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