相談事例
「真の強み」とニーズを発見し、新規事業に「ストーリー性」をもたせる
佐藤縫製(キッチンカー新規事業・ゆきだるま号) 様
新型コロナウイルスにより消費者の生活スタイルが変わったことで、中小企業の中にも、これまでとは違う業種や新規事業に挑戦する事業者が増えてきました。しかし、全くの異業種への参入はリスクが非常に高いと言えます。異業種へ進出するにあたっても「自分たちの強みは活かせているのか」がとても重要になります。
ゆざわ-Bizにも、「新規事業に挑戦したい」という相談は多くきます。その際、果たしてその事業が事業者の強みを活かしているのか、また、地域ニーズにあったものなのかという点を、相談を通して深く掘り下げます。今回のケースでは、新規事業を開始するにあたって、自社の強みと社会的なニーズを掘り起こしていった経緯を、株式会社佐藤縫製のキッチンカー事業で見ていきたいと思います。
ゆざわ-Bizにも、「新規事業に挑戦したい」という相談は多くきます。その際、果たしてその事業が事業者の強みを活かしているのか、また、地域ニーズにあったものなのかという点を、相談を通して深く掘り下げます。今回のケースでは、新規事業を開始するにあたって、自社の強みと社会的なニーズを掘り起こしていった経緯を、株式会社佐藤縫製のキッチンカー事業で見ていきたいと思います。
抱えていた悩み・課題
ゆざわ-Bizへの相談のきっかけ
主に産業用資材などの縫製を行っている佐藤縫製さん。栄養士の資格も所持している黒沢理紗さんが、新事業として「キッチンカー事業を立ち上げて惣菜をいろいろなところで提供したい」との相談に訪れました。もともと同社は食品関連の事業は行っておらず、全くの新規事業で、当時検討していた補助金の取得も視野に、「キッチンカー事業をはじめるにあたって、事業内容を少し磨き上げたい」との要望でした。その段階では、「キッチンカー事業で惣菜を提供」というおぼろげなコンセプトしかなかったため、一見すると、「本業とは異なる突拍子もない新規事業」に見えてしまいます。そこで、佐藤縫製さんの事業内容から会社の概要、検討しているキッチンカー事業がどのようなものなのかのヒアリングを丁寧に行いました。
ゆざわ-Bizからの提案
話を掘り下げていくうちに、実は「佐藤縫製さんならではの優位性」を利用した事業であることが判明していきます。最初の特徴は、社員の方々の中に、兼業農家さんが非常に多いという点でした。約7割の社員の方が兼業農家さんという点は、農業に携わる人が多い稲川地区に会社があることの最大の特徴です。兼業農家の社員の方々が作る野菜のうち、規格外となってしまい販売できないものも出ているといい、ゆざわ-Bizでは「それを積極的に買い上げて惣菜の原材料にしましょう」と提案をしました。
兼業農家の自社の社員の皆さんから、販売できない規格外野菜を購入することで、食品のロス問題も防げます。また、社員の方々にとっては、会社が買い上げることにより「副収入」にもなる可能性もあります。
ある程度リーズナブルに食材が仕入れることができれば、惣菜製造コストの下がります。通常、キッチンカーでの販売となると、移動にかかる燃料費などが余分にかかり、それが商品の金額に転嫁され、販売金額が高くなる傾向になりますが、仕入れを抑えることで、その問題もクリアできそうです。湯沢市でも稲川や皆瀬地区は公共の交通機関による交通の便が良くなく、いわゆる「買い物難民」と呼ばれる人たちも多くいますし、また、会社でもお昼時に昼食を購入したり、食べに行ったりするのが不便な立地でもあります。佐藤縫製のキッチンカー事業は、こうした地域特有の「社会課題」も解決するいい手段になります。
兼業農家の自社の社員の皆さんから、販売できない規格外野菜を購入することで、食品のロス問題も防げます。また、社員の方々にとっては、会社が買い上げることにより「副収入」にもなる可能性もあります。
ある程度リーズナブルに食材が仕入れることができれば、惣菜製造コストの下がります。通常、キッチンカーでの販売となると、移動にかかる燃料費などが余分にかかり、それが商品の金額に転嫁され、販売金額が高くなる傾向になりますが、仕入れを抑えることで、その問題もクリアできそうです。湯沢市でも稲川や皆瀬地区は公共の交通機関による交通の便が良くなく、いわゆる「買い物難民」と呼ばれる人たちも多くいますし、また、会社でもお昼時に昼食を購入したり、食べに行ったりするのが不便な立地でもあります。佐藤縫製のキッチンカー事業は、こうした地域特有の「社会課題」も解決するいい手段になります。
提案後の成果
佐藤縫製さんの強みや特徴を洗い出し、そのうえで、「なぜ佐藤縫製がキッチンカー事業を行うのか」というストーリーを整理したことで、事業としての強みのほか、「地域課題解決」「社員の働き方改革」「SDGs」というキーワードが組み合わさり、通常のキッチンカー事業とは異なる事業に変化を遂げました。無事補助金の活用もでき、事業開始となった2023年1月には湯沢市役所での販売会に合わせて多くのマスメディアが取材に訪れ、事業は順調な滑り出しを見せ、「うちにも来てほしい」と販売を望む会社からの問い合わせも相次ぎました。
事業の強みは製造するものや提供するサービスだけに限りません。その会社の立地や、会社を支える社員の方々も「強み」となる可能性もあります。こうした強みは、一見すると見えづらいものではありますが、ゆざわ-Bizとの対話を進めていくと見えてくる部分でもあります。今回の佐藤縫製さんの事業はまさに、「自分たちでも見えていなかった会社の強み」にスポットライトを当てた結果、実現できた異業種であるとも言えます。
事業の強みは製造するものや提供するサービスだけに限りません。その会社の立地や、会社を支える社員の方々も「強み」となる可能性もあります。こうした強みは、一見すると見えづらいものではありますが、ゆざわ-Bizとの対話を進めていくと見えてくる部分でもあります。今回の佐藤縫製さんの事業はまさに、「自分たちでも見えていなかった会社の強み」にスポットライトを当てた結果、実現できた異業種であるとも言えます。